皮膚の働きの基礎講座
皮膚には、大切な働きがたくさんあります
- 体を保護する
外からの圧力や紫外線、細菌やカビ・ウィルスなどから体を守ります
また、余分な水分が入り込んだり、体内の水分が失われたりするのを防ぎます - 体温を調節する
皮膚表面の毛細血管が広がったり縮んだりして、体温が上がりすぎたり
熱が外ににげたりすることを調整します - 感じる
皮膚に触れたことを感じる触覚、痛みを感じる痛覚、暖かさを感じる温覚、
冷たさを感じる冷覚があります
いずれも外からの刺激に対する感覚で、感じることにより体を守ったり、
心地よさや不快感をもたらしたりします - 分泌排泄する
発汗により体内の水分のバランスや体温を調整しています - 合成する
表皮細胞は、皮脂の成分であるコレステロールを合成します
また、日光と反応してビタミンDを合成して骨の働きを助けています - 呼吸する
外気とガス交換をして酸素を取り込む働きがあります - 吸収する
重金属、色素、ビタミンA、ステロイド剤、その他ローションやクリームの成分などは、
皮膚表面から皮膚のの中まで吸収されます
軟膏など脂に溶けやすい物質は、毛穴からも吸収されます
皮膚表面をきれいに保つことは、アレルギー、特にアトピー性皮膚炎発症の予防にもなります
きれいで快適なお肌を保つためには
- ① セッケンをよく泡立てて、やさしくカラダを洗います
すすぐ際に、シャワーを強く浴びすぎると肌トラブルのもとになりますので、かゆみがある場合は、
かけ湯(桶で湯をくんで体にかける)がおすすめです - ② 保湿ケア
入浴後や乾燥が気になる時には、ボディーローションなど保湿剤をやさしく塗ります - ③ 肌着
皮膚にあたる部分が、綿やシルクのものは、汗を吸ってくれます
また、縫い代やタグが肌にあたらないものを選びます - ④ 洗剤
肌着を洗う洗剤は、セッケン洗剤は刺激が少なくおすすめです
セッケンやスキンケア製品などの選び方も大切です
当院では、病気の症状や肌の状態にあわせたセッケンやスキンケア製品、洗剤、肌着をご紹介しております
診察時にお気軽にご相談ください
体の肌トラブルにはご注意・・
かゆみや肌トラブルを放置すると、夜も眠れないくらいひどくなることがあります
早めに治療をすることが大切です
・皮脂欠乏症
いわゆる乾燥肌ともいわれるものです
皮膚表面の水分や油分が減って、かさかさ乾燥してかゆみがでます
フケやかゆみが生じます
- 保湿用の塗り薬
- かゆみが強い場合は、副腎皮質ホルモン剤の外用や抗ヒスタミン剤の内服
・じんましん
じんましんは、ある日突然おこります
急に皮膚がかゆくなり、かゆい部分には、蚊に刺されたような少し盛り上がった赤い斑点(膨疹)が
ぶつぶつ出てきて、ひどくなると、全身に地図のように広がっていきます
かゆみや赤みは、数分から数時間で跡形もなく消えてしまいますが、また繰り返し襲ってきます
出たり消えたりすることが、じんましんの特長です
食べ物や疲れ、ストレス、風邪などの感染症、内臓の病気などが原因になることがありますので、
じんましんが生じたら、激しい運動を避けて疲れすぎないようにすること、睡眠を十分にとること、
消化の良い食事をすることが大切です
数日繰り返すようでしたら、必ず皮膚科を受診してください
早めに抗ヒスタミン剤の飲み薬等で治療しないと、慢性化して治りにくくなってしまいますので
注意が必要です
・汗疹(あせも)
ここ数年の猛暑の影響もあり、汗トラブルは、子供だけではなく大人も注意が必要です
通常汗は蒸発しますが、大量の汗をかいたり、汚れや肌着の影響によりエクリン汗管が塞がって
しまうと、皮膚表面から外に排泄されずに汗が皮膚の中にたまり、あせもとなります
汗をかいたらままでいると、皮膚表面がざらざらして痛がゆくなり、汗ばんだ時に赤くブツブツかゆく
なったりします
汗をかいたらまめに拭きとり、あせも用のローションやパウダーを塗ります
かゆみがひどい場合は、ステロイド外用剤を使用します
- 汗の成分は99%が水。残りは塩化ナトリウム、尿素、乳酸・カルシウム・マグネシウム・鉄・アミノ酸などで、皮膚の保湿効果があります
- pH5.7~pH6.5の弱酸性で、皮膚の細菌が増えるのを防ぐ役割があります