円形脱毛症について
このページでは、「円形脱毛症」について解説いたします。
円形脱毛症は、円形もしくは楕円形に毛が抜け落ちてしまう疾患で、ひどくなると、全体の毛が抜けてしまう場合もあります。 頭部だけではなく、毛が存在するあらゆる部位に生じる可能性があります。 円形脱毛症は人口の1~2%に発生し、その約50%が20歳未満で小児に多い疾患といえますが、大人になってから発生する例も少なくありません。
毛包組織に対する自己免疫疾患と考えられています。 遺伝的背景(家族で円形脱毛症の方がいる場合は、円形脱毛症になる可能性が高くなります)や、疲労や感染症など肉体的、精神的ストレスが引き金となります。 アトピー性皮膚炎のほか、膠原病や甲状腺の病気に円形脱毛症の合併が多いとも言われています。
臨床症状は、円形の脱毛斑が主症状となります。一般的に自覚症状はありませんが、脱毛前や活動期に軽いかゆみやチクチクとした違和感、皮膚の赤みが生じることがあります。爪の変形が合併することもあり、粟粒大くらいに白く爪がへこむ陥凹病変が最も多いと言われています。
- 《単発型》 : 脱毛斑が単発なもの。
約80%は1年以内に自然治癒するといわれていますが、まれに多発型へ移行する場合があります。
- 《多発型》 : 複数の脱毛斑を認めるもの。
脱毛斑がいくつか融合したり、拡大や縮小、再発を繰り返して、慢性に経過します。適切な治療を行っても、完治まで時間がかかる場合が多いと言われています。
- 《汎発型》 : 頭髪だけでなく、眉毛、まつ毛、体毛など、頭以外の毛も抜け落ちるもの。
- 《蛇行型》 : 頭髪の生え際の後頭部から側頭部にかけて帯状に脱毛するもの。
脱毛を生じる疾患は、他にもいろいろあります。
- 抜毛症(トリコチロマニア)
- 真菌感染症
- 膠原病やホルモン異常による脱毛症
小学生、中学生によく見られる脱毛症で、人為的に自分の毛を引き抜くことによって生じます。 精神的ストレスが強い場合も多く、患者さんの話をゆっくりていねいに聞いて、頭を触らないように具体的な提案を行っていきます。
白癬菌というカビが髪の毛に寄生して、毛が抜け落ちて脱毛症を生じます。柔道や格闘技などで肌が接することで感染が広まりやすいトリコフィトン・トンズランスや、犬や猫に寄生しているミクロスポルム・カニスによるものが多いです。髪の毛や頭皮の一部を顕微鏡で検査をすることで診断します。
エリテマトーデスや皮膚筋炎などの自己免疫疾患や、甲状腺ホルモンの異常が脱毛の原因になることがあります。治りにくい脱毛症や急速に進行する脱毛症の場合には、血液検査を行って確認をします。自己免疫疾患やホルモンの異常が見つかった場合には、必要に応じて専門医療機関をご紹介しております。
セファランチン、グリチルリチン、抗アレルギー薬、漢方薬などを、症状に応じて使用します。
ステロイド外用薬と塩化カルプロニウムが主に用いられる外用薬です。育毛剤として、レイソフォルテも使用しています。
SADBE試薬を用います。まず脱毛部に1~2%試薬を外用して感作させた後、2週間に1度試薬を外用します。
- 液体窒素による冷却療法
- エキシマライト(UVB-LED)による光線療法
難治性の脱毛部分に、直接ステロイド剤の注射行います。
JAK阻害薬であるオルミエント(バリシニコフ)、リットフーロ(リトレシチニブ)が、難治性の円形脱毛症に使用できるようになりました。 使用できる症状や、投与前の検査など、いくつかの条件がありますが、効果的なお薬です。 治りにくい円形脱毛症でお困りの方は、ぜひご相談ください。
帽子やバンダナ、スカーフなどの小物を利用したり、ピンや編みこみなどの髪型の工夫で目立たなくします。しかし脱毛が広範囲に及ぶ場合や、髪型でも隠しきれない場合は、ウィッグを活用することで普段と変わらない生活を送ることが可能となります。運動やプールに入っても大丈夫なウィッグや、部分ウィッグ、レンタルプランなどもあり、当院では信頼できる専門店を紹介しております。
小児の円形脱毛症は決して珍しくない疾患です。しかし、毛が抜けてしまったというショックは大きなものであり、家族や学校からの理解や温かい目が大切です。小児の円形脱毛症の多くはストレスに起因すると言われていますが、患者さん自身が気づいていない例が多く、また家族に心配をかけないようにと言いたいことが言えなかったり、自分の気持ちをうまく表現できない場合もあります。じっくりと患者さんの声に耳を傾ける姿勢が重要です。その一方で、特別扱いにしないで普通に接することは、患者さんの心の安定につながります。治療はもちろん、それ以外でも、勉強、お手伝いなどがんばっていることは褒めてあげることも大切です。 当院では、患者さんとご家族にも寄り添いながら、治療を進めていきます。
- かゆみ
- フケ
- フケとかゆみ
最も多い原因は、シャンプーやコンディショナー、トリートメント、ヘアオイル、ワックスなどのヘアケア製品によるかぶれ(接触皮膚炎)です。また、アトピー性皮膚炎でもかゆみが生じやすくなります。かゆみが生じる1ヶ月以内に新しく使い始めた製品があれば、中止して以前のものに戻すか、低刺激性のものに変えた方が無難です。どれが自分に合うのかわからない場合が、パッチテストという検査を行って、何にかぶれているのか調べることができます。 また、敏感肌用のシャンプーやヘアケア製品もご紹介しておりますので、診察時にお気軽にご相談ください。
頭皮の乾燥が最も多い原因です。シャンプーの後は、頭皮を乾かしてからヘアケア用のオイルを使用して地肌に潤いを与えます。また、部分的にフケがうろこのように付着している場合は、尋常性乾癬という角質の代謝異常の病気のことがありますので、治りにくいフケの場合は皮膚科を受診することをお勧めします。
両方の症状が出ている場合は、脂漏性皮膚炎という皮膚病が疑われます。毛穴から出る皮脂の中に常在しているマラセチアというカビが増えることによって生じる皮膚炎です。夜更かしやストレス、食生活の乱れも影響します。抗菌効果のあるフケとり用のシャンプーや外用薬で、症状を改善させます。

